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■レグ2
ラリー2日目は「青屋上り(8.72km)」「駄吉上り(6.24km)」「無数河-アルコピア(6.08km)」の3ステージをサービスを挟んでリピートする6SS、42.08km。前日に降った雨は上がり、天候は曇り。ただ、ループ最初の2本は路面にウエットが残っており、多くのクルーがウエットタイヤをチョイスしている。
前日、SS4でデイリタイアした新井大輝/立久井大輝(シュコダ・ファビアR5)は、足まわりを修理し再出走を果たした。
「最終戦ですし、ファンの皆さんの前でしっかり走り切りたいという思いがありました。今日はWRCラリージャパンに向けて、色々とセットアップを試すつもりです」とコメントしている。
SS7は、落ち葉や泥の上にウエットが乗った滑りやすいコンディションのなか、勝田範彦/保井隆宏(トヨタGRヤリス・ラリー2)が今回初の一番時計。「難しいコンディションの午前中は、マージンを使って慎重に走行する」と語るヘイキ・コバライネン/北川紗衣(GRヤリス・ラリー2)は6.0秒差の2番手タイムでまとめ、18.9秒差で首位をキープする。
このステージでは、前日まで3番手につけていた鎌田卓麻/松本優一(ファビアR5)が、土嚢にヒットし足まわりを破損。4分近くをロスし、ステージフィニッシュ後にリタイアとなった。これにより、奴田原文雄/東駿吾(GRヤリス・ラリー2)が3番手、福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアRSラリー2)が4番手、新井敏弘/小坂典嵩(スバルWRX VBH)が5番手と、ひとつずつ順位を上げた。
SS8は勝田がコバライネンに0.3秒、新井大輝に0.4秒差の連続ベスト。ほぼドライとなったSS9は、コバライネンが奴田原に5.4秒、勝田に6.5秒差をつけ、この日最初のベストタイムを刻み、総合2番手の勝田との差を25.1秒に戻してみせた。この日のスタートの段階では0.6秒差だった3番手奴田原と、4番手福永の差は13.2秒に拡大。1分40秒4差の5番手には新井敏弘がつけている。
サービスを挟んだ午後のセクション、SS10は依然としてウエットが残るなか、ここで新井大輝がベスト。SS11は福永が今回2度目となるベストタイムをマークした。首位のコバライネンは最終のSS12をベストタイムで締めくくり、前戦久万高原に続くシーズン2勝目。2022年、23年に続く3度目のJN-1クラスタイトルを決めた。
30.3秒差の2位に勝田、1分22秒5差の3位に奴田原。福永は奴田原に9.2秒届かず、1分31秒7差の4位でフィニッシュした。5番手を走行していた新井敏弘/小坂典嵩(スバルWRX VBH)はSS10でコースアウトを喫し、ラリー続行を断念した。
「ラリー北海道をフィニッシュした時点では、もうチャンスはないと考えていた。まさかタイトルを獲得できるなんて思ってもいなかったよ。まずはこのラリーで勝てたことがうれしい。厳しいシーズンだったけれど、本当に良かったよ! もちろん少しは運もあったけど、この厳しいコンディションにおいて、うまく状況をコントロールすることができた。チームのみんな、監督のマキノさん、そしてサエちゃん(北川)に感謝したい。次はWRCラリージャパンに集中する」と、この日44歳の誕生日を迎えたコバライネンは喜びを爆発させた。
2位で走り切った勝田は「久万高原ではかなりの差がありましたが、そこは詰めることができました。ただ、何が足りないのか、分析する必要があります。前半戦、選手権をリードできたのは、上位のふたりがミスをしたりトラブルに見舞われたりと、僕に運があっただけです。スピード的には負けていたので、なんとかしなければいけないと考えていました。反省点は残りますが、2位というランキングは1年間全力で戦った結果です」と、一定の納得を見せた。
JN-2クラスは、SS7で山田啓介/藤井俊樹(トヨタGRヤリス)が全体でも2番手に入る驚愕のベストタイムをたたき出すと、SS8でも連続ベストをマークし、2番手以下とのタイム差を拡大。タイトルを争う貝原聖也/西﨑佳代子(GRヤリス)は、SS7の山田のタイムを見てアタックに挑んだSS8の序盤で、左リヤとフロントにダメージを負いスロー走行。このステージだけで3分以上をロスし、優勝争いから脱落してしまう。SS8を終えて、46.2秒差の2番手に大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスDAT)が浮上するが、山田はその後のステージもマージンを活かしてペースをコントロール。トップの座を守ったままフィニッシュし、今シーズン4勝目を持ち帰った。この結果、今回8位に終わった大竹直生/橋本美咲(トヨタGRヤリス)を逆転し、念願のJN-2クラスチャンピオンを獲得した。22.5秒差の2位に大倉、40.4秒差の3位には前日の7番手から大きく順位を上げた内藤学武/大高徹也(トヨタGRヤリス)が入っている。MORIZO Challenge Cup(MCC)は、SS2から首位の座を守り切った最上佳樹/小藤桂一(トヨタGRヤリス)が、MCC初優勝を飾った。
ついに全日本王座を手にした山田は目に涙も浮かべながら「最高にうれしいです。今日1日、ずっと難しい戦いとなりました。たったひとつのミスで、この3年間やってきたことがすべて無になってしまう危険がありました。本当に苦しかったんですが、コ・ドライバーの藤井選手と力を合わせて、乗り越えることができました。2023年にシートがなくて引退する危機に見舞われた時、チームに拾ってもらい、MCC優勝、そしてJN-2タイトルを獲得することができました。こういったチャンスをいただいて感謝しかないです」と、チームへの感謝を語った。2位の大倉は「とりあえずこの厳しいコンディションにおいて、フィニッシュできて良かったです。DATはよく動いてくれましたが、重量面で厳しさもありました。この点に関しては、ドライビングも含めて来シーズンに向けた課題です」と、コメントしている。
JN-3クラスは初日同様、各ステージで僅差の勝負が展開された。トップで最終日に挑んだ山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)はSS7とSS9でベストを刻み、しっかりとポジションをキープ。初日2番手の上原淳/漆戸あゆみ(スバルBRZ)が濡れた路面でペースを落とすなか、山口清司/竹原静香(トヨタGR86)が2番手に浮上する。しかし、山口はSS9のスタートから1km地点でコースオフ。足まわりにダメージを負い、リタイアとなってしまった。これで2番手に窪啓嗣/藤口裕介(GR86)、3番手に曽根崇仁/小川由起(GR86)が浮上。首位の山本は後半のセクションも安定したペースで走り切り、シーズン6勝目。2位にウエット路面で順位を挙げた窪が入り、全日本初の表彰台を獲得。3位曽根、4位に上原というオーダーでラリーを終えた。また、初めて全日本ラリー選手権参戦を果たしたレーシングドライバーの荒聖治/明治慎太郎(トヨタ86)は、経験を積むことに徹した芯のあるアプローチで7位ですべてのステージを走り切った。
勝利でシーズンを締めくくった山本は「ハードなコンディションでしたが、自分なりにペースをコントロールできましたし、新しい足まわりもテストできました。総合的に良いラリーになったと思います。次のWRCラリージャパンは、今回とクルマが違いますが、全日本選手権へのフィードバックもできるはずです」と、次戦ラリージャパンへの意気込みを語った。全日本4戦目で初の表彰台を持ち帰った窪は「最後、曽根選手が思いのほか速くてドキッとしましたが、なんとか2位をキープできました。優勝を目標にしていたので、山本選手に追いつけなかったのは残念です。それでも、今回ようやくまともな結果を残せたことで、チームや支えてくれた皆さんに良い報告ができます」と、笑顔を見せている。
JN-4クラスは、初日首位の高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)が6SSすべてでベストタイムを並べ、2位の須藤浩志/新井正和(スイフトスポーツ)との差を41.7秒差に広げ、今シーズン3勝目。初日はターボの過給トラブルに悩まされながら、その後のサービスで修復し、最後までしっかりと走り切った鶴岡雄次/山岸典将(スイフトスポーツ)が3位に入った。
我慢のタイトル獲得から、最終戦を勝利で締め括った高橋は「ここのところトラブル続きでしたが、天気に翻弄されたものの、最後に優勝できて良かったです。チャンピオン獲得の最大の要因は、諦めない、腐らない、逃げないということですね。それを後押ししてくれたコ・ドライバー、そしてチーム全員が盛り上げてくれたお陰だと考えています」と、周囲への感謝を語った。新車での初ラリーを2位で走り切った須藤は「最初はセッティングが出ていなかったので、厳しい展開になりました。それでもこのラリーを走り切ったことで、なんとかトップの近くで戦えるところまでは行けたと思います。クラスは変わりますが、来シーズンが楽しみになりました」と、笑顔を見せている。
JN-5クラスは、初日2番手の阪口知洋/野口智恵美(日産マーチNISMO S)が、SS8とSS9で連続ベストをマークし、首位の小川剛/山本祐也(トヨタ・ヤリス)に迫ってみせる。小川がSS10でベストを獲り返すと、阪口もSS11ベストで応戦。しかし、最終SS12をこの日3本目のベストタイムでまとめた小川が、2位の阪口に19.1秒差をつけて開幕戦三河湾以来となるシーズン2勝目を飾った。前日3番手の河本拓哉/有川大輔(マツダ・デミオ15MB)が6位に順位を落とし、1分00秒9差の3位には島根剛/粕川凌(トヨタ・ヤリス)が入った。
久々の優勝となった小川は「前戦の久万高原でひっくり返してしまったので、今回は借り物のクルマで出場しました。無理して貸していただいたので、無傷で返さなければなりません。ウエットタイヤを選択したのですが、安心感もあって楽しかったです。荒れた路面も、安全に走ることができました」と、安堵の表情を見せた。2位で走り切った阪口は「やはり結果的に、濡れた路面でスライドコントロールの上手い選手に持って行かれたという感じです。それでも、自分自身ではドライタイヤで滑る路面を攻めるという貴重な経験を積むことができました」と、収穫を語った。
JN-Xクラスは、首位の天野智之/井上裕紀子(トヨタRAV4 PHEV)が、初日に築いたアドバンテージを活かし、余裕のトップフィニッシュ。JN-5クラスの優勝タイムを上まわり、今シーズン全勝となる8勝目を持ち帰った。2分3秒3差の2位には、SS9とSS11で2度のベストタイムをマークした清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス)。「いつも駄吉はなぜかタイムがいいんです」というSS8でベストタイムをマークした海老原孝敬/蔭山恵(ホンダCR-Z)が、3分13秒6差の3位でラリーを走り切った。
今シーズンも圧倒的な強さを見せつけた天野は「今年はRAV4で色々とセットアップを試してきて、この最終戦が集大成になりました。RAV4はターマックのみでしたが、この形のわりにはよく走ってくれました。ドライ路面は悪くないですが、ウエットになるとタイヤのグリップが落ちて大柄なクルマなので厳しくなりますね」と、ニューマシンを冷静に評価した。2位の清水は「自分なりには速くなってきているんだけど、それでも天野選手には追いつけませんね。今回のラリーはドライとウエットのタイヤの特性も見えてきたし、しっかり走れるようになってきました」と、チャンピオンの強さを讃えた。
全日本ラリー選手権最終戦ラリーハイランドマスターズ 最終結果
1 JN-1 ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(AICELLO速心DLヤリスRally2) 1:03:20.0
2 JN-1 勝田範彦/保井隆宏(GR YARIS Rally2) +30.3
3 JN-1 奴田原文雄/東駿吾(ADVANKTMSGRヤリスRally2) +1:22.5
4 JN-1 福永修/齊田美早子(スミロン☆焼肉ふじ☆CTE555ファビア) +1:31.7
5 JN-2 山田啓介/藤井俊樹(FITEASYソミック石川DLGRヤリス) +4:33.2
6 JN-2 大倉聡/豊田耕司(AISIN GR Yaris DAT) +4:55.7
7 JN-1 石黒一暢/穴井謙志郎(カヤバ GRヤリス) +5:08.1
8 JN-2 内藤学武/大高徹也(YH TEIN Motys GRヤリス) +5:13.6
9 JN-2 吉原將大/石田裕一(UPGARAGETEINDLWMWRX) +5:17.5
10 JN-3 山本悠太/立久井和子(SammyK-oneルブロスYHGR86) +6:03.9
17 JN-4 高橋悟志/箕作裕子(ミツバWMDLマジカル冷機スイフト) +7:41.4
26 JN-X 天野智之/井上裕紀子(TRT・DL・RAV4 PHEV) +10:08.1
27 JN-5 小川剛/山本祐也(itzzノアBRIDE DL ANヤリス) +10:17.9








